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3ヶ月でシリーズBまで駆け抜けた – AI ERPのCampfire

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01$625Mイグジットの次の一手

この記事では「3ヶ月でシリーズBまで駆け抜けた AI ERPのCampfire」について詳しく解説します。

3ヶ月でシリーズBまで駆け抜けた  -  AI ERPのCampfire

「一度やったことは、もっとうまくできる」 — Campfireの創業者John Glasgowは、そんなシンプルな確信から2度目の起業に踏み出した。

Glasgowは前作Invoice2goで請求書管理のモバイルアプリを作り上げ、世界中の中小企業に愛されるプロダクトに育てた。2021年、Bill.comがInvoice2goを6億2,500万ドル(約940億円)で買収。堂々たるイグジットだ。普通なら少し休むところだろう。しかしGlasgowには「未完のミッション」があった。

Invoice2goを運営する中で、彼が何度も直面したのはERPの限界だった。請求書を発行しても、その先にある会計処理、財務照合、レポーティングは別のシステムで行わなければならない。NetSuiteやSage、QuickBooks — どれも1990年代から2000年代に設計されたアーキテクチャの上に、AIを「後付け」している状態だった。

2023年夏、GlasgowはY Combinator(Summer 2023バッチ)に参加し、Campfireを正式に立ち上げる。Invoice2goで「請求書の民主化」を成し遂げた男が、今度は「ERPそのものの再発明」に挑むことを宣言した。

02NetSuiteを殺すAIネイティブERP

Campfireのプロダクトをひとことでいえば、「最初からAIで設計されたERP」だ。これは単なるマーケティングコピーではない。アーキテクチャレベルで、従来のERPとはまったく異なるアプローチをとっている。

Legacy ERP vs Campfire — 設計思想の違い
Legacy ERP
ルールベース + AI後付け
人間が仕訳ルールを設定し、例外処理も手動。AIは補助ツールとして別モジュールで動作

vs
Campfire
AIネイティブ設計
AIがトランザクションを自動分類・照合。人間は承認とレビューに集中。データモデル自体がAI前提

従来のERPでは、経理担当者が請求書と銀行明細を見比べて「この入金はあの請求に対応する」と手動で照合する。月次決算のたびに数日がかりの作業だ。Campfireはこの照合プロセスをAIが自動で行い、95%の精度を実現している。残りの5%だけ人間が確認すればいい。

さらに面白いのは、Campfireが自らを「会計のSlack」と称している点だ。Slackがメールを置き換えたように、Campfireはスプレッドシートベースの経理業務をリアルタイムのコラボレーションに変える。財務データの異常検知、キャッシュフロー予測、支出トレンドの可視化 — すべてがダッシュボード上でリアルタイムに動く。

95%
財務照合の自動化精度

70%削減
月次決算の作業時間

リアルタイム
財務レポーティング

033ヶ月でSeries A→Bの異常速度

Campfireの資金調達のスピードは、2025年のスタートアップシーンでも異例中の異例だ。

2023 Summer
Y Combinator参加
YC Summer 2023バッチでプロダクトの原型を開発。デモデーで注目を集める。

2025年6月
$35M Series A(Accel主導)
シリコンバレーのトップティアVCであるAccelがリード。AIネイティブERPの可能性に賭けた。

2025年9月
$65M Series B(Accel + Ribbit Capital)
わずか3ヶ月後。フィンテック特化VCのRibbit Capitalが参加。異常なスピードでの追加調達。

Series Aからわずか3ヶ月でSeries B — これは通常ありえない速度だ。一般的なスタートアップはシリーズAの後、12〜18ヶ月かけて次のラウンドに進む。Campfireが3ヶ月で$65Mを追加調達できた背景には、いくつかの要因がある。

  • 1
    創業者の実績$625Mイグジットの経験を持つGlasgowに対する投資家の信頼。「この人なら2回目もやれる」という確信。
  • 2
    爆発的な顧客獲得PostHog、Decagon、ReplitなどのユニコーンがSeries A直後から次々と導入。口コミでの広がりが止まらなかった。
  • 3
    市場タイミング2025年はAIエージェントの年。ERPのようなデータ密度の高い領域こそ、AIが最も威力を発揮するという確信が投資家に広がった。
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