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純粋な質問

オフィスはどうやって決めた? – スタートアップのオフィス選びの全記録

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ABOUTUS編集部
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最初のオフィスは自宅の6畳間

会社を登記したとき、オフィスなんて借りる余裕はなかった。自宅の6畳間がオフィスだった。ベッドの横にデスクを置いて、Zoomの背景はバーチャル壁紙。寝る場所と働く場所が同じ空間にある生活が始まった。

最初の3ヶ月は、正直それで十分だった。メンバーは自分と共同創業者の2人だけ。コミュニケーションはSlackとGoogle Meet。毎日の朝会もオンライン。物理的に集まる必要がなかった。

でも、問題はすぐに出てきた。オンとオフの切り替えができない。朝起きた瞬間からオフィスにいる状態。夜中の2時にSlackの通知が来て、つい返してしまう。3ヶ月目くらいで明確に生産性が落ちた。

もう一つの問題は、来客対応ができないこと。投資家とのミーティング、取引先との打ち合わせ。自宅に呼ぶわけにはいかない。毎回カフェを探すのも限界がある。

バーチャルオフィスという選択肢

自宅で法人登記していたけど、名刺に自宅の住所を載せるのは抵抗があった。そこで最初に検討したのがバーチャルオフィスだ。

月5千〜2万円
バーチャルオフィスの相場

住所利用+郵便転送
基本サービス

法人登記OK
ほとんどのサービスで対応

有名どころだと、GMOオフィスサポート(月額660円〜)、レゾナンス(月額990円〜)、DMMバーチャルオフィス(月額660円〜)あたり。渋谷や港区のビジネス住所が月1,000円前後で使えるのは、冷静に考えるとすごい。

ただし注意点がある。銀行口座の開設時にバーチャルオフィスだと審査が厳しくなる場合がある。特にメガバンクは渋い。GMOあおぞらネット銀行や住信SBIネット銀行はバーチャルオフィスでも比較的通りやすいと聞くけど、実オフィスに比べるとハードルは上がる。

コワーキングスペースの日々

メンバーが3人になったタイミングで、コワーキングスペースに移った。週に2〜3回集まって対面で作業する、というハイブリッドスタイル。

コワーキングスペース比較 — 東京エリア
大手
WeWork
月額4〜8万円/人(ホットデスク)。おしゃれな空間、会議室あり、コミュニティイベントも。ただし高い。渋谷・六本木・丸の内など。

スタートアップ向け
PLUG AND PLAY / CIC
アクセラ併設型。投資家やメンターとの接点がある。渋谷・虎ノ門。月額3〜6万円/人程度。

コスパ重視
BIZcomfort / いいオフィス
月額1〜3万円。全国展開。内装はシンプルだが、コストを抑えたい初期には十分。法人登記可能な拠点も。

個室あり
H1T(エイチワンティー)/ fabbit
個室プランが月額5〜10万円。少人数チームの「半個室オフィス」として使える。

うちはBIZcomfortの月額会員プラン(月2.2万円)から始めた。全国の拠点が使い放題で、コスパは最強だった。Wi-Fi、電源、フリードリンク。作業環境としては十分。

ただし、コワーキングの弱点は「集中しにくい」こと。周りに人がいるし、電話の声が聞こえるし、狭い。込み入った議論をするときに、毎回会議室を予約するのも面倒。半年くらい使って、「そろそろ自分たちだけの空間がほしい」と思い始めた。

実オフィスへの移行

シードラウンドの資金調達が終わったタイミングで、実オフィスを借りることにした。メンバーは5人になっていた。

探したのは目黒〜渋谷エリア。理由は単純で、メンバーの通勤を考えると東急線沿線が便利だったから。あと、スタートアップの集積地に近い方が、何かと都合がいい。

15〜25万円
目黒エリア 10〜15坪の相場

25〜45万円
渋谷エリア 同規模の相場

家賃の6〜12ヶ月分
保証金(敷金)の目安

最終的に目黒の古いビルの一室を借りた。12坪で月額18万円。保証金は6ヶ月分で108万円。初期費用として仲介手数料や原状回復費を含めると、入居時に約150万円がかかった。

正直、この金額は創業初期にはかなりの負担だ。でも「自分たちの場所」ができた効果は大きかった。ホワイトボードを壁に貼りっぱなしにできる。私物を置ける。深夜まで議論できる。空間があることで、チームとしての一体感が生まれた。

  • 1
    OHEYAGO(オヘヤゴ)スタートアップ向け不動産仲介。仲介手数料が安い。小規模オフィスに強い。
  • 2
    officee(オフィシー)居抜き物件が豊富。前のテナントの家具をそのまま使える物件がある。初期費用を抑えたい場合に。
  • 3
    賃貸オフィス検索サイトCBRE、三鬼商事のサイト。大きめの物件が中心だが、相場感を掴むのに使える。
  • 4
    セットアップオフィス家具・インターネット回線が最初から揃っている物件。初期コストを下げたいなら選択肢に。月額は少し高め。

法人登記と住所の問題

意外とハマるのが、法人登記の住所問題だ。これは知っておいた方がいい。

自宅での法人登記は、賃貸物件の場合は要注意。多くの賃貸契約では「事務所利用禁止」となっている。大家さんの許可が必要で、無断でやると契約違反になる。僕の場合は大家さんに相談して許可をもらったけど、断られるケースも多いと聞く。

登記住所の変更は、法務局に変届を出す必要がある。これ自体は難しくないけど、登録免許税が3万円(同一管轄内)かかる。管轄が変わると6万円。オフィスを頻繁に移転すると、この費用が地味に積み重なる。

オフィス変遷とコスト — うちの実例
0〜3ヶ月
自宅
コスト:0円
登記は自宅住所で

3〜9ヶ月
コワーキング
月2.2万円
バーチャルオフィス併用

9ヶ月〜
実オフィス
月18万円
目黒・12坪

リモートワークとの両立

「オフィスを借りたらフル出社」とはしなかった。うちはハイブリッド型で、週3出社・週2リモートをベースにしている。

理由はいくつかある。まず、エンジニアは集中作業が必要な日がある。デザイナーも同じ。全員が毎日出社する必要はない。むしろ、「今日は一人で集中したい」という日にリモートを選べる方が、生産性は上がる。

一方で、完全リモートにはしなかった。創業初期は、偶発的な会話から生まれるアイデアや、ホワイトボードの前での議論が本当に大事だった。Zoomでは代替できない何かがある。

具体的なルールとしては:

  • 1
    月・水・金は「出社推奨日」チーム全員が顔を合わせる日。定例ミーティング、ブレスト、1on1はこの日に集中。
  • 2
    火・木は「リモートOK日」集中作業、ドキュメント作成、個人の開発タスクに充てる。
  • 3
    コアタイムは10:00〜16:00この時間帯は全員が稼働。非同期コミュニケーションは推奨するが、緊急時は即レス。

このルールは完璧じゃないし、今も微調整を続けている。でも「明確なルールがある」ということ自体が重要だと思っている。曖昧にすると、出社する人としない人の間に不公平感が生まれる。

オフィスは「ステージ」で変えればいい

振り返ると、オフィスの形態は会社のステージに合わせて変えるのが正解だった。最初から立派なオフィスを借りる必要はないし、いつまでも自宅でやり続ける必要もない。

ステージ別 — おすすめのオフィス形態
1〜2人 / プレシード
自宅 + バーチャルオフィス
月1,000〜5,000円。固定費を限りなくゼロに。この時期にオフィスにお金をかける意味はない。

3〜5人 / シード
コワーキング or 個室レンタル
月3〜10万円。週数回集まれる場所。会議室が使えるのが大事。

5〜15人 / シリーズA前後
小規模オフィス
月15〜30万円。自分たちだけの空間。チーム文化の醸成が始まる。

15人〜 / グロース
本格オフィス
月50万円〜。会議室複数、来客スペース。採用面でもオフィスの見栄えが効いてくる。

大事なのは、オフィスに使うお金は「投資」であって「見栄」ではないということ。おしゃれなオフィスに月50万払っても、それがチームの生産性や採用に繋がっていなければ、ただの浪費だ。

逆に、実オフィスに移ったことでチームの結束が強まり、偶発的なコミュニケーションからプロダクトのブレイクスルーが生まれたこともある。空間は、チームの関係性に影響を与える。それを理解した上で、自分たちのステージに合った選択をすればいい。

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オフィスはどうやって決めた? 純粋な質問に関する情報は、今後も継続的にアップデートしていく予定だ。

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